この前、「次回の本レビューまで結構時間かかる」と書いたのですが、今読んでいる本がかなり興味深い内容だったので、自分の記憶を整理するためにも、小刻みに公開しようと思いました。
タイトルは『時間栄養学 時計遺伝子と食事のリズム』(香川靖雄ら, 2009)です。
全6章あるうちの序章と1-2章を読み終えたので、今回はその範囲について書きます。 本レビューというよりかは、勉強的な色が濃くなっています。
内容は少し専門的ですが、数式やアルゴリズム的な難しさはないので、自分もまったく知らない状態から原理は理解することができました。
まずはその章ごとの内容を説明し、その後に個人的な感想を書きます。
時間栄養学の概要
時間栄養学をざっくりと説明すると、食事をどのようにどうやって食べるかではなく、いつ 食べるか、ということをひたすら突き詰めた学問です。
これには、時計遺伝子 というものが非常に深く関わってきます。 時計遺伝子というものは、基本的な生物には備わっている遺伝子らしく、この本ではヒトとマウスによる実験があります。
時計遺伝子には、25時間周期で自発的にリズムを刻む 概日リズム というものと、外の光や食事によって修正される24時間の 日周リズム があります。
また、時計遺伝子は、2017年に ノーベル生理学・医学賞 を受賞したすごい研究成果の一つです。 この本には、2,056種類の時計遺伝子が発見されていると書いてあります。 つまり、一日のリズムを刻む遺伝子は非常に多いということです。 どうやってこんなに調べたんだ…
代表的な時計遺伝子は、視交叉上核(しこうさじょうかく)という約1万個の脳の細胞群であり、これは時計遺伝子の中でもさらに中枢に位置し、概日リズム を刻みます。 視交叉上核は、自発的に25時間周期を刻む機構のループで構成されており、これは普通の人間には備わっている機能になります。
つまり、人間が外の状況が分からない部屋に閉じ込められたとしても、25時間の生活リズムは崩れません。 逆に言うと、何もしないと毎日1時間ずつ生活リズムがズレます。
一方、末梢時計遺伝子 と呼ばれる時計遺伝子もあり、これは肝臓や小腸などにも存在し、朝食によってリズムを合わせます。 これらの末梢時計遺伝子が時間栄養学に深く関わってきます。 2-3日朝食を取るだけで、新しいリズムに変化するらしいです。
朝食を摂らないと、生命機能を維持するため、アドレナリンの分泌や肝臓によるグルコースの強引な生成が発生し、低血糖状態になるそうです。 この過程で体の筋肉を分解するため、筋力が減ります。
朝食のメリット
ちょっと1-2章をまとめただけでもメリットが多すぎるので、箇条書きにしておきます。
- 朝食欠食者に対し成績2割向上
- 朝食を摂っている学生のほうが、有意に成績順位が高く、平均で2割順位が高い(やばすぎる)
- 注意力の減少を防ぐ
- 朝食により低血糖状態を防ぐ
- 代謝と運動能力の向上
- これは、朝食を摂ることでPCG-1αというタンパク質が正常に働き、その結果エネルギー代謝の核であるミトコンドリアの生成を促した結果らしい
- 肥満解消
- 代謝向上の恩恵
- 寿命の向上
- 正確にはテロメアの無駄な消耗を避ける。テロメアの発見は2009年のノーベル生理学・医学賞
- 糖尿病等の予防
- メンタルの安定
- 攻撃性が減る
- 躁病、うつ病の対策
- 朝起きれるようになる
- "食べる前に予期行動が出現し、毎日の給餌時刻の2〜3時間前より活動が高まる" らしく、朝食のリズムに合わせ体が自動的に活性化する模様
- 逆に、夕食は前後させてもあまり時計遺伝子に影響はない
興味が沸いたら、実際に本を読んでみてください。面白いので。
感想
個人的には、「これ読んで朝食摂らない人間いるのか?」という衝撃的な内容でした。
自分はこの本を読むまで朝食を撮らず、一日の最初の作業を開始していました。 むしろ集中したいときほど、意図的に朝食を摂らなかったのですが、完全に裏目に出てました。
これは、炭水化物を摂取すると胃にエネルギーが行き、集中できなくなるからという雑な理屈から習慣にしていたのですが、どうやら科学的に間違いだったようです。
明らかに朝食を摂取するメリットのほうがズバ抜けて高いので、朝食型に切り替えました。
毎日朝食を食べるようにしたら、たしかに何も努力しなくても朝起きられるようになった気がする。
生命の進化では、脳ができるより前には、消化管のみの時代を長く生きていたはずなので、食をベースに遺伝子レベルで地球の回転にリズムを合わせたという感じですかね…
後半は適当なタイミングで読んで、また似たような記事を書きます。
これからも色々な学問を武器にしていきたいですね。
前半のまとめ
朝日はまあまあ強い。 朝食は最強。
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