よく、「生活リズムが大事」「寝る時間が大事」「習慣が大事」とか雑なことを言っている人を見ますが、無責任にもそれをどう整えていくかについて、ちゃんと語ってくれる人は少ないです。
たしかに理想的な生活リズムは、健康的である確率を高め、作業能率を上げるために欠かせないものだと思います。 そのため、生活リズムに根底から影響を与える「睡眠」に関して調べ直していました。
また、仮説を立てて生活リズムを強引に戻す方法も考えて実行したところ上手く行ったので、書いておきます。
(まだ情報が完全に精査できておらず、ごった煮状態で、噂程度のエビデンスなし情報も混じっています。)
理想の時間帯に関して
- 理想の睡眠時間: 7時間 (⇔「睡眠時間の周期が90分」と矛盾しているのが謎)[1]
- 理想の睡眠時間帯: 24時-7時(文献によって前後する可能性あり)
- 何をしても眠い時間帯: 14時(睡眠の質などとは無関係の現象。昼寝と被せるとお得)[1]
- 時計遺伝子の影響か?
食事
- 朝食を決められた時間に摂ることで起床のリズムが正しくなる(時間栄養学)[2]
- 夕食を食べるのに理想なのは19時 (時間栄養学的にはあまり影響がない[2]が、消化器系と折り合いをつけると、このくらいが良いらしい)
化学物質や栄養など
- 寝る時間から逆算すると、カフェインは15時以降控えたほうがよい。睡眠の質が下がるので
- マグネシウムは睡眠の質を高める
- メラトニンを経口摂取すると眠くなる(今度ネットで買って試してみます)。あくまで頓服用途
- L-Theanine(テアニン): 血液脳関門を通過可能。α波によるリラックス効果で入眠を補助
- L-Tyrosine(チロシン): 血液脳関門を通過可能。脳内による変換過程でドーパミンになる(前駆体と呼ばれる)
自律神経系と脳
- 外部による体温調節
- 寝る1時間前に風呂に入り、深部体温を上げ、その後徐々に下げていくと入眠しやすい体温調節ができる [1]
- 日中は冷房が効きすぎない、少し気温が低いように部屋の温度をエアコンでコントロールするのが良(皮膚温度は低く、深部温度は高く保つ[1])
- 毎朝朝日を浴びる(時計遺伝子。視交叉上核によるコントロール)[2]
- たぶん空を見るか太陽の反射光をある程度見ればOK(?)
- 食事や日光で時計遺伝子を調整しないと、一日おきに0.2時間睡眠のサイクルが後退 [1]
- 寝る2時間前からはディスプレイを見ない(網膜にある受容体「メラノプシン」のブルーライト(470nm)によるメラトニン阻害説 [1])
- 睡眠の周期は90分(ウルトラディアンリズム)
- 最初の1周期目が最も回復効率が高い [1]
- 通常寝ている時間帯の2時間前からは眠くなくなる [1] → [Lavie 1986]
- 睡眠のリズムを前倒しするのは難しい
テクニックなど
- アデノシン受容体を埋めて眠気を誘発させる
- 肉体を使った運動をする(ATPの消費)
- カフェインの無駄な摂取(アデノシン受容体が増えて疲れやすくなる)や、遅い時間の摂取(ドーパミンが入眠を阻害)はよくない
- ベッドで寝れない時間を長時間過ごさない(認知行動療法)
- 散歩による自律神経の調整(7,000〜10,000歩/日 くらいがいいらしい)
- 理想は、「眠いときに寝る」+「それがちょうどいい時間帯」
昼寝
昼寝に関してはまだ知らないことが多いので、経験などのメモ程度です。
- おそらく昼寝は日周リズムに影響しない(経験)
- 何をしても眠い時間帯(14時ごろ)に被せるとよい
- 寝る時間が30分を超えると、深い睡眠に移行してしまうので、これより短い睡眠にする
- 個人的には、現状7分の昼寝がベストで、起きられなくなる心配が最も低い
- 深い睡眠に入るスピードが他の人より早いのかもしれない
その他
習慣
- 3ヶ月習慣を続けると、その習慣に合うように体が慣れるらしい
- 慢性的な夜型習慣は時間を少しずつずらして修復していくといい
- 寝る時間を早めるのは理論上難しいので、起きる時間を早めていく
入眠法
- 最近話題になっていた入眠法。眠いときは一瞬で眠れるが、眠れないときは何度試しても眠れなかった
- 本質は「ボディスキャン」や瞑想に通ずるものがあるはず
セロトニン
- 眠気を誘発するメラトニンの脳内における原料はセロトニン
- セロトニンがまず必要 → 太陽の光やビタミンD、リズム運動
- セロトニン→メラトニン の変換が必要
夜型と朝型
- 整体の先生曰く、「遺伝子レベルの夜型人間というのは存在するが、割合的にはかなり少ない。どちらかというと性格や気質、習慣で夜型になっている方が多い」とのこと
- 僕もこれには時計遺伝子の観点から同意している
- 自分がどちらの型かは脳を開いて視交叉上核の細胞を取り出してみないとわからないので、自分が多数派であることにベットし、朝型の生活を送るのが無難な気がする
それ以外の自分でできること
- 「Sleep Cycle」で起きやすい時間帯にアラームをかけてもらう
- アイマスクによる完全な遮光をすることで寝やすくなり、中途半端に起きにくくなる
- Alexaに部屋の光のコントロールを任せる
- 「定型アクション」で特定の時間に電灯をスイッチする。時報を喋らせるなど
- 上手く眠れたときのパターンやルールを記録しておく
- 自分の場合、音楽を流しながら寝る(Alexaに30分後に自動で切るようにに設定してもらう。Alexaはアイマスクを付けながらでも操作できるので本当におすすめ)
- アイマスクを一度付けたら絶対に外さない
- 眠れないと思ったらスクワットや腹筋をしてATPを消費 → アデノシン受容体が埋まるので眠気が来る
- 24時に寝るなら、22時以降は基本的にパソコンとスマホはNG
- NightShift等でディスプレイの青系統色をカットして読書ならギリギリOKかもしれない
- 風呂に入る → 積み本の消化、アナログ絵を描くなどでお茶を濁す
仮説
断食による時計遺伝子の調整
おとといまで生活リズムが13時-28時と、めちゃくちゃにズレこんでいたのですが、時間栄養学的にリズムを整える仮説を立てて実行してみました。
- 方法: 28時に寝ずに、朝6時まで起きて朝日を浴びて朝食を摂る → 寝る → 15時ごろ起きる → 何も食べず、ある程度運動しつつ夜まで耐える → エネルギー不足になるので夜眠くなる → 23時にベッドに入る → 6時に起き、朝食を摂り朝日を浴びる
という風に強引に生活リズムを朝方に戻しました。 おそらく、15時の起床時に食事を摂ってしまうと、それを朝食と消化器系が判断してしまうと思ったので、断食しました。 完全に24時間カロリーゼロで過ごしました。
ズレを修正するために2連続で朝食を摂り、時計遺伝子に6時が朝というインプットをすることでリズムを矯正するという仮説ですが、一発で上手く行ったっぽいです。 たまたまかもしれないので、また生活リズムがズレたらやってみようと思います。
おわりに
睡眠のリズムを整え治すのは本当に難しいです。 元々整っている人ならある程度は体内のホメオスタシスで修正が効くかもしれませんが、慢性的に昼夜逆転していると、生活リズムがずれると朝型に修正しても簡単に崩壊しがちなので。
それには、
- 一定時間に寝る習慣 / 一定時間に起きる習慣
- 夜ふかししない自制心 / 朝起き、二度寝しない自制心
- タスクを積まないコントロール能力
- 体力管理 / メンタル管理
- 食事(栄養素+食事時間の管理)
など、色々なことを気にしなきゃいけないはずです。 コントロールする能力をコントロールして維持し続けなきゃいけない。
ですが、生活リズムによる恩恵は大きいので、これらを改善する価値は十分にあると思います。
参考文献
- [1] 西野精治, 『スタンフォード式 最高の睡眠』, 2017/03, サンマーク出版.
- [2] 香川靖雄ら, 『時間栄養学』, 2019/6(第7刷。初版だが、あきらかに最近の研究内容が入っているので), 凸版印刷.
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